松山自動車道のアップダウンを可視化してみる

滑床渓谷を散策した際、久しぶりにGPSロガーを使った(cf. 滑床渓谷へ - にゃまぐち研究室)。ところが、スイッチをoffにすることなく、家路に就いてしまった。つまり、車で高速(松山自動車道)を移動している際にも、GPSのログをとってしまっていたわけである。

普段なら、そんな無駄ログはさっさと削除するに尽きるわけだけれども、よくよく考えてみると、松山自動車道のアップダウンを断面図として見てみるとどんな風に見えるのか、気にならなくもない。
そこで、せっかくなので、松山自動車道のアップダウンを可視化してみることにした。ただし、滑床渓谷から松山市内の自宅に帰る際のものなので、ログをとることができたのはあくまでも三間IC~松山IC間(上り線)だけである。

また、図中の三間ICの位置は、本線(上り線)と合流した地点を示している。その他のICの位置は、高速から降りるための減速車線が本線(上り線)と完全に分岐した地点を示している。さらに、煩雑化を防ぐために「トンネル」のことを「T」と表記してある。

 

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標高の高い区間

データ上の最高点は、黒岩岳トンネルの内子側入口から少し進んだ地点の標高349mであった。とはいえトンネル内の計測値なので信頼しない方がいいかもしれない。ちなみに内子側入口の標高は333mであった。

また、西予と大州の境目にある鳥坂トンネルの標高もそこそこ高い。こちらもトンネル内で標高340mを計測している。また、西予側入口の標高は328m、大州側入口の標高も328mであった。

繰り返しになるが、GPSデータは正しく計測されている保証はない。したがって今回計測したデータから、厳密な意味での最高点を割り出そうとはしない方がいい。

とはいえ、ザックリと考えて、黒岩岳トンネル、鳥坂トンネルの2つのトンネルが、松山自動車道において相対的に標高の高い二大区間とみておくことに問題はないであろう。どちらのトンネルも標高330m程度のところにある。

そして、トンネルの前後は、相対的に急傾斜の坂道になっている。

印象深い坂道について思い出してみる(下り線)

下り線を走っている場合のことを思い出してみたい。

伊予ICを過ぎたあたりから上り坂になる。知らず知らずの間に速度の落ちる区間である。路肩には「速度減少注意」というような表示もあったと記憶している。

その後、明神山トンネルに入ったところで、前の方の車が速度を落としているらしく、プチ渋滞することがよくある。トンネルに入ると、道幅がせまく感じるためか、無意識のうちに減速してしまうドライバーが多いためだろう、と思っていた。しかし、GPSデータからわかるのは、トンネルの伊予側出口と内子側出口の標高差である。ここからトンネル内も上り坂になっていることがわかる。正直言って、トンネル内も上り坂になっていることについては、運転していて印象になかった。明神山トンネル内のプチ渋滞は、トンネル内効果に加えて、上り坂効果のせいでもあるということだろう。

そして明神山トンネルを抜けると、黒岩岳トンネルの手前まで続く2車線区間に突入する。遅い車を追い抜きたいのだが、斜度のキツい上り坂であるため、なかなか思うように加速することができない。車のスペックの差が出る区間でもある。僕は普段はミッション車を運転しているのだが、ここで加速したい時はギアを3速に入れる。また、遅いのに登坂車線に移動しない車がいてイライラすることも多々ある。ともあれ、この区間の斜度のキツさは、GPSデータにもよく表れているように思う。

岩岳トンネルを抜けたあとは、一転、下り坂で高度を下げていくことになる。トンネルを出てすぐのところに、いちおう2車線区間があるけれども、距離が短いため、よほど遅い車が前を走っていない限りは、追い越しをかけないようにしている。

下り線の場合、大洲松尾料金所を過ぎてからの、上り坂の2車線区間も、印象的である。料金所で時速20~30km程度までスピードを落としてからの急加速が必要になるため、ここでもやはり車のスペックの差が出る。ミッション車は3速推奨。この上り坂でしっかりと高度を上げるからこそ、その先の鳥坂トンネルに辿り着くことができるわけである。

こうやって思い出してみると、やはり、黒岩岳トンネル手前と、鳥坂トンネル手前が、二大急坂である。われわれはトンネルに辿り着くために高度を上げている、といっても過言ではない。

印象深い坂道について思い出してみる(上り線)

 今度は南予から松山方面をめざす場合について思い起こしてみたい。

鳥坂トンネルを抜けたあと、大洲松尾料金所に至るまでの長い下り坂の2車線区間は、追い抜きをかけるのか、かけずに走行車線を走るべきなのか、迷うところでもある。料金所のETC専用レーンは左側にあるので、料金所の手前で追い越し車線から走行車線に戻る自信がある場合のみ、追い越しをかける。僕の場合、よほど遅い車がいない限りは(あるいはかなり空いている時間帯でない限りは)、走行車線を走ることにしている。

僕と同様、地元ナンバーの車はこの区間ではあまり無理をしない印象。ただし、県外ナンバーの車の中には、追い越しをかけていって、料金所の手前で無理やり走行車線に戻ったり、あるいは戻れずにそのまま一般車・ETC車兼用レーンに入らざるをえなくなるパターンを目撃することも、一再ならずあった。

正直言うと、上り線には、上記の区間以外に印象的な坂道は思い浮かばない。下り線よりも登坂車線の数や総延長が短いように思う。

強いて言うならば、明神山トンネルに入る手前の区間、伊予ICに向かって高度を下げていく区間、松山ICに向かって高度を下げていく区間などでは、とくに夕暮れ時に車のテールランプが連なって綺麗だなと思う。最後の松山IC手前の区間では、松山平野の夜景の中に飛び込んでいく感じも味わうことができる。

標高の低い区間

大洲料金所から大洲北只IC手前までの区間大洲道路になる。この区間は、上下線ともに最も長い2車線区間であると同時に、最も標高の低い区間でもある(今回の計測区間からは外れている宇和島朝日IC付近の方が低いかもしれないが…)。

大洲料金所の近辺は、昨年7月の豪雨で水没した*1。データを見て、改めて、大洲盆地の標高の低さを実感できた。

宇和盆地と三間盆地は意外と標高が高い

山岳区間の影に隠れて見逃してしまいがちだが、宇和や三間の標高は意外と高い。冬場に南予方面に用事がある際、鳥坂トンネルを抜けて宇和盆地に入ると、雪景色の歓迎を受けることがある。高校地理では、準日本海側気候の影響と習った記憶があるけれども、標高の高さも考慮要因かもしれない。

おわりに

以上、松山自動車道のアップダウンを断面図として可視化してみて、何となく気づいたことを書き綴ってみた。標高差300mを上ったり下ったりする、エンジンに負荷のかかる高速道路である、と、まとめてみようかと思ったが、他の高速道路、たとえば中国道や九州横断道もこれくらいの起伏はあるかもしれない。普段の自分の運転を省みるいい機会にはなった。