滑床渓谷へ

5月3日(金・祝)、妻と一緒に滑床渓谷を散策してきた。

本当は早立ちして、三本杭にまで足を延ばしたかったところだが、寝坊し、準備に手間取り、松山の自宅を出発したのが8:30。松山から宇和島市街までであれば、高速さえ混んでいなければ2時間弱(うまくいけば1時間半)で着く。が、滑床までとなると、プラス1時間は見ておかなくてはならない*1。結局のところ、滑床渓谷の駐車場に到着したのは11時過ぎだった。当初は、滑床を奥千畳まで遡ったあと、二の俣谷~熊のコル経由で三本杭に登頂しようと思っていたが、出発時刻が予定より2時間以上も遅れているので諦め、奥千畳までのユルめの散策に切り替えることにした。

気になったのは、ゴールデンウィークだというのに、観光客の姿が散見される程度だったということ。普段のゴールデンウィークであれば、溪谷を散策したり、水遊びを楽しんだりしている観光客がもっといてもおかしくないのではないかと思う。やはり、昨年7月の豪雨災害以降、消費者に行楽地として想起されにくい状況が続いているのではないか。

もっとも、後述するように、雪輪の滝よりも上流部分は、とくに右岸(溪谷を遡る場合向かって左側の岸)の散策道が要所要所で寸断されていた。地元の方(?)がトラロープを設置してくれていたりして、何とか通行することはできたが、あまりにも軽装備すぎる人や、山登りの経験がまったくない人にとっては、千畳敷や奥千畳まで散策することは難しかったかもしれない。ご参考までに。

 滑床渓谷駐車場の出発時刻は11:20。

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万年橋のたもとに年季の入った地図がある。

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万年橋から遡り始めて最初に出迎えてくれるのは三筋の滝。

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観光客こそ少なかったが、この日もキャニオニングのパーティを3~4組ほど目撃。

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「日本の滝百選」にも選ばれている雪輪の滝。ここは特別な装備なしでも滑ることができる。地元の人は、昔から、この滑滝を滑り台にして遊んでいたようである。

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ただし、雪輪の滝の横にあるこの滝つぼ(落合渕というらしい)では、数年前に松山市の中学生が亡くなっている。とくに増水時には、水流に巻き込まれて滝つぼの中から出られなくなる危険性が高い。特別な装備(ライフジャケットやヘルメット)無しで飛び込まない方がいいだろう。

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落合渕のすぐ上に橋がある。けれども、通行止めになっていた。寸断された散策道の再整備作業が、いまも続行中のようである。この時点では、右岸の散策道の荒れ具合がどの程度のものなのかわからなかったので、橋は渡らずに、左岸を遡ることにした。

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氷室跡の上流、千畳敷の手前で入渓。

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滑床小屋近くの渡渉ポイント。簡易的な木橋が架かっていた。左岸の木にワイヤーでゆわえられている。「増水時には素直に流されてしまえばよい。あとで回収すればよい」という設計思想。

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個人的に「宇宙の花」と呼ばせてもらっているギンリョウソウ。

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これは何という植物(キノコ?)だろう? あるいはコケの花か?

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入渓したまま遡行するのが難しそうなところで、右岸の散策道にエスケープ。新緑とコケのグリーンシャワーを浴びて、妻もご機嫌である。

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奥入瀬感の気持ちいいところで再び入渓…

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…したのも束の間、遡ってすぐのところが本流と二の股谷の分岐だった。ここが奥千畳である。14:20分到着。スタート地点の駐車場から3時間もかかった…。

持参したカット野菜と鶏ガラスープの素で野菜スープをつくり、おにぎりと一緒に食べた。デザートは鬼北(広見)の道の駅で買った清見タンゴール。朝、出がけに挽いたコーヒーを淹れて、東鳩オールレーズンと一緒にいただいた。気持ちよすぎて、妻は昼寝モードに。

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奥千畳の再出発時刻は15:30。1時間以上もくつろいだ。あとは、万年橋までサクっと下るだけである。

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滑床小屋近くの例の木橋を渡り、雪輪の滝までは左岸を下った。

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左岸の側にも1箇所だけ、散策道が寸断されているところもあった。有志(?)の方がトラロープを設置してくれているので、どうってことはなかったが、慣れない人にはちとツラいかもしれない。ご参考までに。

その後もサクサク下って、雪輪の滝および落合渕直上の通行止めになっていた橋の近くまで到着。

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展望台で雪輪の滝を見下ろしながら休憩。

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雪輪の滝より下流は、往路と同じ散策道で帰った。遊仙橋までは左岸、遊仙橋以降は右岸。

ちょっといただけないなと思うのは、お役所仕事の石畳である。傾斜がキツめのところを直線的なスロープにしてしまっている。年季が入って苔がついたりすると滑りやすい。とくに、近年は、キャニオニングのお客さんが、アクティビティを楽しんだ後、水滴をつけたままここを下るので、晴れている日でも石畳が濡れてしまい、フリクションが利きにくくい。僕はキャニオニングが悪いのではなく、お役所仕事の石畳が悪いと考えている。面倒でも階段にしておく方がまだマシだった*2
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万年橋に戻ってきたのが17:10。このルートで所要5時間弱ということは、歩行スピードを平均すると時速約1kmぐらいになりそうである…。時間をたっぷり使った、ある意味では贅沢な滑床散策であった。

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久しぶりにGARMINGPSロガーeTrex Venture HC)を使ってみたので、軌跡をアップしておく。

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久しぶりに立ち上げたので、GARMINさんもビックリしたのだろう、スタート地点の標高を正しく計測し損ねている(実際は350mといったところだが、50mになってしまっている)。また最高点の標高はGPSのデータ上では797mということになっているが、実際にはせいぜい700mだったはず。渓谷の中では同時に補足できる衛星の数に制約があるので、誤差が大きくなりがちなのだろう。

 

*1:滑床が目的地の場合、宇和島まで高速にのらずに三間I.C.で高速を降りる方が早い。

*2:なお、同様のお役所仕事的石畳は、新居浜の東平から銅山越へと登っていく散策道でも見かけた。